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(未演)ソプラノとヴィオラのための断片的な追想と小唄 – “穴”(作曲者の詩による)

Program note

これは演劇のような歌であり、詩は舞台の中と結びつくように書かれている。
歌い手であるソプラノ歌手はヴィオラの音色に誘われながらある”女”を演じる。女は言霊の中をさ迷いながら、何かを思い出そうとするかのように詩句の断片を歌う。それは時に連想的で、時に無邪気な言葉遊びのように続く。
女はヴィオラに愛する者の影を見出して一目見たいと求めるが、現世の存在であるヴィオラにたどり着くことはできない。
やがて女は穴の中で自分の亡骸を見つけ、ここが虚構、あるいは死後の世界である事を知る。その時音楽は明確に拍子を刻み、小唄となって消え入るように終わる。

Text

赤の河原の岸辺に咲くのは
キレイな花の一つだけ

穴の上辺にたたずむ私と
あの子の声の他は無い

ヴィオラ ヴィオラ 愛しのヴィオラ

昔を思うと悲しいけれど
今はあなたの声がみたい
あなたの声をみたい

穴の中をよくよく見れば
白く冷たい私の手

私はすでにイナイ人だけど
あの子の声で眠れない

ヴィオラ ヴィオラ
愛しのヴィオラ