これは演劇のような歌であり、詩は舞台の中と結びつくように書かれている。
歌い手であるソプラノ歌手はヴィオラの音色に誘われながらある”女”を演じる。女は言霊の中をさ迷いながら、何かを思い出そうとするかのように詩句の断片を歌う。それは時に連想的で、時に無邪気な言葉遊びのように続く。
女はヴィオラに愛する者の影を見出して一目見たいと求めるが、現世の存在であるヴィオラにたどり着くことはできない。
やがて女は穴の中で自分の亡骸を見つけ、ここが虚構、あるいは死後の世界である事を知る。その時音楽は明確に拍子を刻み、小唄となって消え入るように終わる。
赤の河原の岸辺に咲くのは
キレイな花の一つだけ
穴の上辺にたたずむ私と
あの子の声の他は無い
ヴィオラ ヴィオラ 愛しのヴィオラ
昔を思うと悲しいけれど
今はあなたの声がみたい
あなたの声をみたい
穴の中をよくよく見れば
白く冷たい私の手
私はすでにイナイ人だけど
あの子の声で眠れない
ヴィオラ ヴィオラ
愛しのヴィオラ