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“parallel melody” for Violin solo

Performed: 春日井 恵

Program note

この曲は2012年に芸大で初演した parallel line の手法をさらに突き詰めた内容である。parallel lineでは「同時に複数の旋律を歌う」というコンセプトを目指したが、今回はその多重性・多様性を拡張し、単旋律として聞こえるものでありながら複雑な要素を内包する音楽を目指した。

人間は見たいものしか見ないので、見えない・見たくない・見えにくいところで起きている事はわからない。しかし、世界の出来事は自分だけの世界ではなく多元的にできている。

この曲はメロディの絶え間ない緊張と弛緩の中の隙を突いて新たなメロディが多層的に積み上がっていく。そのような多元的な積み重ねからメロディ自身が一つの個を形成するかのようになり、やがてヴァイオリニストとヴァイオリンが分裂して対話する。まるで親鳥がキメラの子供を愛でるように。