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弦楽四重奏『hades』- String Quartet “hades”

1st Violin: 花岡 沙季
2nd Violin: 戸原 直
Viola: 平高 朝輝子
Cello: 西方 正輝

Program note

hades とはギリシャ神話の冥王の名であり、現代では死後の世界、特に地獄を意味する言葉である。

地獄は生前の行いによって堕とされた者が永久に肉体を苦しめられる場所である。私は死んだことがないので全く仮定の話だが、死んでもなお生き生きと苦しみ続けているその人­は何を思って罰を受けているのだろうとふと思った。これが一つのイメージとなっている。

この曲で試みた事の一つは個人的な”痛み”の表現への探求であり、もう一つはそれに伴う記憶と思考の崩壊の過程を描く事である。それを踏まえた主題動機労作、アンサンブル­の掛け合いをも試みている。

曲は間奏含めて大きく5部に分かれ、切れ目なく続く。

Section 1: Sentence
Sentence とは文章、あるいは裁判の宣告の意。hades の文字列による主題 (h-a-des) と緩やかな歌のような旋律によるソナタ。

Section 2: Remain
Remain とは残滓。h(シ)の音を持続しながら無造作に旋律の断片が飛び交う。

Sarabande
無伴奏チェロによるサラバンド。

Section 3: Fuga
半音階的な主題による荒々しいフーガ

Section 4:  Elegy
ヴィオラが物悲しく歌う。