プロコフィエフの“鉄と鋼の”うた
激烈な感情をもったものに限って、時折優しい一面を見せた瞬間の切なさは途轍もなく大きい。たとえばこの、プロコフィエフ交響曲第2番がそうだ。
プロコフィエフ交響曲第2番はオネゲルの作曲したパシフィック231という機関車のような曲に霊感を受け「鉄と鋼の交響曲」を作ろうと思い立って作られた。
しかしその内容は耳をつく警告音、切り刻まれるようなリズム、野太い歌に満ちた激しい音楽で、当時同じく激烈なストラヴィンスキーの「春の祭典」ブームが去ってサティのような耳に優しい六人組が流行っていたパリにおいてはあまりに冷淡な反応だったそうで、あのプロコフィエフが自分の才能を疑うほどに自己嫌悪に陥ったという逸話が残されている。
この交響曲は全2楽章からなり、第1楽章が前述した激しいドチャスカした金属の筋肉みたいな音楽だ。とりあえずこの雰囲気をリンクのクリックで確認してから次を読むと良いかもしれない。
第2楽章はそれと対比して何かエモい。次の冒頭だけでも聞いていただけると言わんとする事がわかると思う。